蝶の写真を撮るようになり5年が経ちました。滞在型の(と言っても3泊5日ですが)海外旅行は初めてでした。しかも一人旅。言葉もわからず、到着日のレストランでメニューを見たときには、絶望的な気持ちになりました。早く日本に帰りたいという気持ちで一杯になりました。それが、帰る日には、もう帰らなければいけないのか、という気持ちに変わっていました。バリの魅力を教えてくれたネイチャーガイドさん、フレンドリーに声をかけてくれるホテルのスタッフたち、バリの一番の魅力は、人々の笑顔でした。日本人の小さな笑顔とは異なる、大きな笑顔でした。
そして、楽しい旅を、「最高に楽しい旅」に変えてくれたのは、最後に姿を見せたこの蝶でした。シタジロフタオシジミとの出逢いは、きっと私を大きな笑顔にしていたことでしょう。
この蝶に会うためには、この瞬間に、この場所にいなければいけないのです。蝶を探す最大の楽しみはここにあると思います。この瞬間に、別な場所にいれば、別の出会いがあるはずです。その無限大の選択肢の中から、蝶に出会える、すべての出会いが奇跡なのです。ですから、不思議の森はどこにでもあります。小さな草むらでも、虫の目線で見れば迷い人になれるのです。それは、とても贅沢な楽しみなのです。
午後6時にチェックアウト、やっと雨が上がりました。荷物をフロントに預け、レストランに向かいました。迎えの車は7時の予定です。バリで最後の食事は、エビ料理とナシ(ご飯)、フレッシュジュースを頼みました。
ゆっくりと食事を楽しみフロントに戻るともう迎えの車が着いていました。こうしてアリラ・ウブドを後にしました。車は南に進み、空港に近づくと嵐でした。強い雨と風、空港では久しぶりに日本語の会話を聞きました。そこで会った人に伺うと、南部の海岸沿いは連日雨だったそうです。バリ島の中でも天候が違うようでした。深夜0時35分まで、長い時間を持て余し気味に、デンパサール空港で過ごしました。