里山のブルー(その2)

里山の三種のブルーの中で、毎年最初に出会うのがルリシジミです。例年3月の下旬に姿を現します。まだ、周りの色彩が茶色っぽい中で羽化したルリシジミに出会うと、もう桜の開花は間近です。
里山のブルー(その2)_f0310988_08131679.jpg
 私がよく歩く「里山」は、千葉県によくある谷津という地形で、低いところには用水路があり、水路沿いに細長く田畑が続いています。少し高いところは雑木林で、田畑の両側の林縁は農道です。この農道の東側往復5㎞あまりが私の散策路です。田畑は休耕になり雑草が伸び放題になったところもあります。家庭菜園として貸し出されている土地も何か所かあります。この里山もいつか整地され、住宅地になってしまうのでしょうか。
 両側の林道を結ぶ畦道の一つ、南側が田圃、北側は休耕地で笹などが茂っています。この陽当り良好な一角が春先にルリシジミを見つけるポイントです。
里山のブルー(その2)_f0310988_08211247.jpg
 ルリシジミの瑠璃色を狙うのは、この時期のこの場所が最適です。ただし、現れるのは♂ばかりです。また、午前中の方が出会う確率は高いようです。しかし、私の散策路は東側の林縁のため午前中は陽が当たりません。なので、どうしても午後の散策が多くなります。この季節はルリシジミに会うことを目的にこの場所に向かうのです。4月になると、もうこのポイントで開翅する姿を見なくなります。ルリシジミは林縁を道沿いに飛ぶことが多くなり、この場所に寄っても花を探して吸蜜するだけで、翅は閉じたままです。次の写真は佐倉市内を流れる手繰川の近く、オオイヌノフグリで吸蜜する♂です。
里山のブルー(その2)_f0310988_08382341.jpg
 手繰川の近くは里山の保護活動が進んでいます。ルリシジミは6月にも数が多いようです。
里山のブルー(その2)_f0310988_08570470.jpg
里山のブルー(その2)_f0310988_08572315.jpg
 6月と言えば平地産のゼフィルスの季節です。ちなみに私が近くの里山で見たのは唯一ミズイロオナガシジミ、それも一度だけです。ルリシジミは樹木の高いところも飛ぶので、遠くから見るとミズイロオナガシジミでは?と思ってしまいます。ミドリシジミを撮りに横浜の公園に出かけてもよくルリシジミと出会います。一枚目が♂、次が♀です。
里山のブルー(その2)_f0310988_09090475.jpg
里山のブルー(その2)_f0310988_09093152.jpg
 いつもの里山を歩くと、真夏もよくルリシジミと出会います。しかし、出会っても写真に撮る機会が多くありません。林縁を飛ぶルリシジミを追いかけます。やっと葉に止まりカメラを向けると飛び立ちます。また林縁を道沿いに飛びます。これを繰り返すうちに、急にルリシジミは木を駆け上がり、姿を見失ってしまう…。このパターンが多いのです。ですから、撮り貯めた写真を探しても夏のルリシジミは多くないのです。
里山のブルー(その2)_f0310988_09121908.jpg
 残暑の中、ウラナミシジミが姿を見せる頃、クズの花を探すとルリシジミも一緒に見られます。しかし、10月になってからルリシジミと出会った記憶がありません。
里山のブルー(その2)_f0310988_09125013.jpg
 ルリシジミは東京近郊の里山では普通種です。それだけでなく、思わぬ場所で出会うこともあります。まず、長野県の栂池高原、ロープウェイの中継地でヒメシジミに混じって飛んでいました。
里山のブルー(その2)_f0310988_09290849.jpg
 礼文島に行ったときも林道で見られました。春先の個体のような毛深い姿が印象に残っています。
里山のブルー(その2)_f0310988_09292913.jpg
 鹿児島に行ったときは平川動物園の近くで見かけました。
里山のブルー(その2)_f0310988_09294719.jpg
 ルリシジミは派手な色彩や模様もなく、珍しくもありません。しかし、表の薄いブルー、裏は白地にグレーと黒の斑紋、黒い大きな眼、とても魅力的なシジミチョウなのです。ちょっと歩くだけでルリシジミに出会える環境に住んでいることに幸せを感じます。デジカメを始めてからシジミチョウに強く魅かれるようになったのは、肉眼では気づかない、カメラを通して初めて見える世界があるからかもしれません。
by fushiginomori | 2014-01-02 10:07 | 千葉県 | Comments(0)

千葉の里山、近郊の公園、そして南の島の不思議の森で出逢ったシジミチョウをご紹介します


by fushiginomori