行く蝶、来る蝶(その2)

里山を散策すると季節毎に姿を現す蝶も移り変わります。そろそろ春の蝶たちが活動する季節ですが、このところ気温が低くまだモンシロチョウも見ていません。千葉県は山という山がないため、ほとんどの景勝地は海辺です。しかし、佐倉市は海にも面していません。蝶の種類も豊富とは言えないと思います。そんな近所の里山で時々思わぬ蝶と出逢うこともあるのです。

 まずは、これまでに一度しか目撃したことがない蝶たちをご紹介します。トップバッターはギンイチモンジセセリです。翅の表は黒く、裏には名前のように銀色の筋があります。田圃の中の休耕地のイネ科と思われる草むらで見つけました。この蝶との出逢いは後にも先にもこの一回限りです。昨年も見つけた場所の近くを何度も何度も探してみましたが二度目の出逢いは叶っていません。
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 次はテングチョウです。佐倉市内でも城址公園などでは見たことがありますが、近くの里山で見たのはこの一度きりです。田圃の際の斜面で、冬眠明けの日光浴を楽しんでいました。
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 里山の散策で一番よく見る黒いアゲハはクロアゲハです。カラスアゲハは少なく最近幅を利かせているのは、ナガサキアゲハです。2010年の夏、スリムなクロアゲハを見つけて追いかけると、木の葉に止まったのはオナガアゲハでした。名前の通りクロアゲハよりも長い尾を持っています。
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 梅雨時になると雨の止み間に、ゼフィルスと呼ばれるシジミチョウの仲間を探しに里山を彷徨います。と言っても、ゼフィルスのいる場所に遠征(そんなに遠くではありませんが…)したり、土日が雨だったりと、実際にはそれほど探しに行ってはいないのです。それで、近所の里山でゼフィルスの仲間は一度も見ていませんでした。しかし、チャンスは突然やって来ました。2010年の6月半ば、よく晴れた日の午後3時過ぎ、下草で翅を休めるミズイロオナガシジミを見つけました。カメラを構え忍び足で近づいたとき、後からジョギングの人が…、ミズイロオナガシジミは高く飛び上がってしまいました。樹上を探し、証拠の写真を残しただけです。その後も同じ場所を探していますが、見つけたのはこの1回限りです。
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 アサギマダラを目撃したのは7年間で2回だけです。渡りをすることで有名な蝶ですから、私が行き会うかどうかというだけで、毎年通っていく道なのかもしれません。この個体は左の前翅が大きく欠けています。過酷な旅の途中で失ったのでしょうか?
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 ここまでの5種は近くの里山ではほとんど見かけない蝶なのです。ミヤマチャバネセセリは少し意味合いが違います。見ない年は一度も見ないのですが、1頭見つけると近くで複数の個体が見つかります。2012年の春はたくさんのミヤマチャバネセセリと出逢いました。しかし、2011年も昨年も、この蝶を1度も見ませんでした。
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 ツマグロヒョウモンが増えているのに対し、他のヒョウモンチョウを見る機会は極めて少なくなりました。ミドリヒョウモンもすっかり数が減り、一度も見ない年もあります。しかし、ほんの少しだけ足を延ばし栗の栽培地を探すと、ミドリヒョウモンはいくらでも見つかります。
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 栗の木を探すと、ミドリヒョウモンと混じってメスグロヒョウモンも見つかります。この個体は秋に千葉市の公園で見つけた♂です。翅の表はミドリヒョウモンと同じくオレンジの地に豹柄の模様があります。
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 近所の里山では秋に一度だけメスグロヒョウモンを目撃しました。セイタカアワダチソウの花を訪れた♀の翅は豹紋とは全く違うチョコレート色です。メスグロ、雌黒と言う名はここから名付けられたのです。知らなければ同じ種類の蝶だとは気付かないことでしょう。
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 コツバメは錆色の小さなシジミチョウです。春の陽射しを体いっぱいに受けようと、体を斜めにして止まる習性があります。写真に撮れたのはこの一回だけですが、敏速に飛び去る姿は何度か目撃しました。飛ぶときだけ表の金属光沢のある水色が見えます。
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 最後にご紹介するのはツマキチョウです。この蝶は毎年必ず見られる蝶です。しかし、身近にいても、多くの人には存在を知られていない蝶なのです。姿を見せるのは年一回4月頃、田圃の休耕地など水の近くの草むらでよく見かけます。翅の先はカーブして♂は黄色く可憐な蝶です。特に蝶に興味のない方には、飛んでいる姿はモンシロチョウと区別がつかないかもしれません。
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 シロチョウの仲間は飛び方は弱々しいのに、ずっと飛び続け中々止まってくれません。しかも止まったと思ってもすぐ飛び立ちます。菜の花に止まる姿を撮るのは意外と難しいのです。♀は翅の先も白色です。
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 今年も、いつもの里山で、季節毎にいつもの平凡な蝶たちと出逢い「元気だった?」と声を掛けたいと思います。その、ささやかで贅沢な時間が、もうすぐそこまでやってきているのです。
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by fushiginomori | 2014-03-09 15:20 | 千葉県 | Comments(0)

千葉の里山、近郊の公園、そして南の島の不思議の森で出逢ったシジミチョウをご紹介します


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