糠平温泉にて

 初めて北海道のバスツアーに出かけたのはもう何年前でしょうか? 車窓から、ヒグマ、キタキツネそしてエゾシカを捜しました。ヒグマには出会ったことはありませんが、最も高確率で見つかるのはエゾシカです。
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 あれは未だ春のことでした。クラブツーリズムから送られてきた国内版のカタログをぼんやりと眺めていました。そこで見つけてしまったのです。「大雪山の麓に佇む秘湯/糠平温泉4日間」さらに付け加えられていたのは「1名1室同旅行代金!」の文字です。これはもう行くしかないと即断しました。
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 昭和46年に発行された「新しい昆虫採集案内(Ⅰ)」巻頭の写真に虫の宝庫、糠平付近と紹介されていました。以来約45年間憧れの地名として私の頭に残っていました。とかち帯広空港からはホテルの送迎バスで2時間弱、フリープランというのは自由に蝶を追いかけてくださいと解釈しました。
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 3泊した宿は糠平館観光ホテル①、エゾシカはホテルの目の前の公園です。3頭のエゾシカ家族がこの温泉郷に住みついているそうです。写真は長男もしくは長女です。下の写真、左上がホテル、右上が公園です。
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 二日目朝は温泉郷を歩き、9時の開館を待って「ひがし大雪自然館」(上の写真左下)に向かいました。そこで学芸員の方からお話を聞きました。7月から子供向けの観察会を開催しているのに昆虫、特に蝶がいないと言うのです。原因は天候だとか、海から流れてくる霧が大雪山系まで流れてそこで滞り、陽の射さない毎日が続いていたそうです。この日も最高気温の予想が19度でした。ミドリシジミも一頭も見ていないということでした。一応蝶のいそうな場所として、この自然館の周辺、キャンプ場の駐車場③、ぬかびら湖④、そして鉄道資料館⑤と教えていただきました。ただ、期待できるのはシロチョウくらいということでしたが。
 そして、ひがし大雪自然館の近くで見つけたエゾスジグロシロチョウです。
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 草むらにはイトトンボがいましたが、種名はわかりません。左が雌、右が雄と勝手に思っています。
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 数が多かったのはコキマダラセセリです。新鮮なので出始めだと思います。雄です。
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 こちらは雌です。北海道固有のセセリチョウには出会えませんでした。雌は③のキャンプ場の駐車場です。
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 キャンプ場の駐車場は広く、シータテハが一頭だけ翔んでいたので追いかけました。
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 ぬかびら湖④で一休みした後、鉄道資料館⑤に行ってみました。そのころには雲が消えて青空が広がっていました。後で伺うと10日ぶりの陽ざしだそうです。下の写真左は4日目の朝撮ったもので、右が2日目に撮った廃線になった線路です。天気とともにやる気も復活しました。
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 線路脇の林縁にヒメキマダラヒカゲが現れました。どこか雰囲気が違うと感じたのは、裏の模様の色合いでしょうか。
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 そして、やっと北海道の固有種と出会えました。
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 小型のヒョウモンチョウです。表翅の紋からホソバヒョウモンとしましたが、合っているでしょうか?
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 前翅の縁に点線のように紋が並んでいます。
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 昼食の後で自然館の裏を歩いているとき、道の脇の草むらでガサガサと音が、クマ?、現れたのはずっと小さな生き物です。幼鳥です。ヤマドリでしょうか、なかなか精悍な顔つきです。
mugenjunjunさんからご指摘いただきました。この鳥の正体はエゾライチョウの幼鳥でした。北海道にはヤマドリは生息していないようです。ありがとうございました。
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 さらに進むと、今度はもっと大きな動物が、私よりもびっくりしたのはエゾシカでした。こちらは人に慣れていないのか、警戒心が強そうでした。
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 3日目は夏空を求めてバスで帯広まで行ったのですが、帯広は小雨でした。駅ではスピッツの歌がエンドレスで流れていました。夕方温泉郷に戻ると今日も晴れたそうです。当初の計画では3日目はスキー場で蝶を探そうとしたのですが、学芸員さんにも、ホテルの方にも止められました。夏のスキー場ではよくクマが目撃されるようです。クマが沢から沢に移動する道があるということでした。この旅で一番楽しんだのは温泉でした。混浴の露天風呂には近づきませんでしたが。

Commented by mugenjunjun123123 at 2019-08-11 18:26
こんにちは。

バスツアーでこれだけの生き物に出会えるとは、良い旅をされましたね。
この幼鳥さんは、北海道固有種のエゾライチョウですね。
羨ましいです。
Commented by fushiginomori at 2019-08-13 08:48
mugenjunjunさん、コメントありがとうございます。
エゾライチョウというのですね。種名がわかって嬉しいです。
北海道にはヤマドリは生息していないのですね。
ブログ、楽しく拝見しました。北海道、大遠征されたのですね。
Commented by himeoo27 at 2019-08-21 20:39
下から3~4コマ目のヒョウモンチョウの仲間
裏翅の模様がわからないので断定出来ませんが
前翅先端付近に淡い黒い紋があることより記載
されているとおり「ホソバヒョウモン」と思わ
れます。
Commented by fushiginomori at 2019-08-24 15:09
himeooさん、ありがとうございます。
このホソバヒョウモンを撮った日のお昼ご飯を食べた店で、
10日ぶりに太陽が見えたと聞きました。
ひがし大雪自然館の学芸員の方もヒョウモン類が出ていないと言っていたので、
この蝶と会えただけでもついていたのだと思います。
by fushiginomori | 2019-08-11 18:10 | 北海道 | Comments(4)

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