里山レポート12「蝉しぐれの頃」

 長い梅雨が明ければ、今度は連日の酷暑。テレビでは不要不急の外出の自粛を促すアナウンスが繰り返されます。コロナ感染予防だけではありません。熱中症の予防のためです。その間に夏休みも終盤になってしまいました。そこで、帽子を被り、タオルを首に巻いて、少しだけ里山を歩いてきました。散歩道の入り口で出迎えてくれたのはムラサキツバメです。この辺りでは多い蝶ではありません。
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 数が多かったのはムラサキシジミです。小ぶりのムラサキシジミが元気に翔び廻っていましたが、雌ばかりです。夏は滅多に翅を開きません。
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 と、思っていたらこの個体だけ翅を開き始めました。しかし、過ちに気付いたムラサキシジミはここまでで、翅を閉じました。すぐ前はクモの巣で、なかなかデンジャラスな環境です。
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 イチモンジセセリは8月の中旬になるとよく見られる蝶です。子供の頃からセセリチョウというと、このジェット機のような三角の翅のイチモンジセセリが頭に浮かんでいました。
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 こちらは別の個体です。後翅の白紋が一列に並んでいるのは他のセセリにも見られますが、触覚が短いのもイチモンジセセリの特徴の一つです。
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 では、これもイチモンジセセリでしょうか?
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 白紋の列が少し乱れています。そして、翅の付け根の方に白い紋がもう一つあります。ミヤマチャバネセセリです。今年の春、散々捜したのに見つからなかった蝶です。夏に出逢ったのは初めてです。同一個体を反対側から撮りました。光の当たり方で随分と雰囲気が違います。
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 暑さをまったく気にしないように元気に活動しているのはアカボシゴマダラです。あっという間に数が増したのも納得できます。
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 キタテハやアカタテハはどこに身を隠しているのか姿が見えません。ツマグロヒョウモンさえ翔んでいませんでした。林間の陽の当たらない場所ではサトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメが見つかります。林縁に留まっていたのはイチモンジチョウです。
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 コミスジは地面に降りていました。
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 林縁にはアオスジアゲハも見つかりました。撮っているときには気付かなかったのですが、後で写真を見るとこのアオスジアゲハ、右側には脚が一本しかないようです。いったい何があったのでしょうか?
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 あまりの暑さに、帰り道はいつも歩かない林間の道を選びました。モンキアゲハが何頭か翔んでいましたが、撮影のチャンスがありませんでした。そして、林の出口付近で、道に留まるカラスアゲハに気付きました。
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 翅はかなり傷んでいますが雌とわかります。カラスアゲハもこの辺りでは多い蝶ではありません。
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 暑さに負けて、いつもと違う道を通ったことから生まれた出逢いでした。次の機会にはモンキアゲハの方を撮りたいものです。さて、この日数が一番多かったのは蝶ではありませんでした。
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 二種類の蝉です。写真は少ない方のミンミンゼミです。アブラゼミは一本の木に5~6頭留まっていました。それが一斉に鳴くわけですから大変な音量です。普通なら、私が近づくと蝉は鳴き止むのですが、これくらい多いとパニックになった蝉がぶつかって来るのです。里山は「時雨」どころか大騒ぎです。

Commented by komugi65 at 2020-08-23 11:42
身近な里山も良く観ると新たな発見があるものですね。今朝は散歩で近くを回りましたが、我が家の周りでもイチモンジセセリが彼方こちらに飛び交っていました。相当な数です。
Commented by fushiginomori at 2020-08-25 18:19
komugiさん、今年の春はミヤマチャバネセセリを捜し回ったのに見つからず諦めました。
身近な里山は、観察を継続することが大事だと思います。
季節が変わると顔ぶれも変わるので、周期的に観察すると良いですね。
by fushiginomori | 2020-08-15 22:38 | 千葉県 | Comments(2)

千葉の里山、近郊の公園、そして南の島の不思議の森で出逢ったシジミチョウをご紹介します


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